
~夢の底─
第4章 冬色午後
「あの、ヒース…あの子…。香港に帰って、ご両親のお世話する─ひとりきり、だ」チャンミンはうつむく。「デビューはならなかった。でも彼は強い。ひとりでやっていける」目を伏せ、「俺も、つくづく愚かな─リーダー失格で兄としても…失敗した」白っぽくなるほど唇を噛む。のろのろと顔をあげたチャンミンは、「どうして─不幸……なんで」涙声にまた変わった。
「痩せて、暗い顔で塞ぎ込んでた頃のお前。今よりずっと可愛らしかった」「──」「…人気は持ち回りだ、チャンミン─」……黙った。涙だけが落ちる。
「お前もっと優しかった、昔─。……残念だな」「ユノ。…僕が、人気で……どうして」「あれだけ─傷ついたのにお前…」今度はユノが黙った。
「…酷い…よ。ユノ─は─、終わった、過ぎた…辛い思い出、忘れようとしてる─のに」絞り出す言葉と涙が溢れる。
「そんなお前が、後輩ひとりに想い出も残してやれない。情けない。傷つけただけだ」俯いたユノの頬に、濃い疲労の翳がある。「両親も妹たちもあって、頭も良くて、若いし奇麗で、体も丈夫で才能も人気もあって─だけどお前は不幸なんだよ…」「どうして? ……」「自分しか愛せない。不幸な人間だよ」
「痩せて、暗い顔で塞ぎ込んでた頃のお前。今よりずっと可愛らしかった」「──」「…人気は持ち回りだ、チャンミン─」……黙った。涙だけが落ちる。
「お前もっと優しかった、昔─。……残念だな」「ユノ。…僕が、人気で……どうして」「あれだけ─傷ついたのにお前…」今度はユノが黙った。
「…酷い…よ。ユノ─は─、終わった、過ぎた…辛い思い出、忘れようとしてる─のに」絞り出す言葉と涙が溢れる。
「そんなお前が、後輩ひとりに想い出も残してやれない。情けない。傷つけただけだ」俯いたユノの頬に、濃い疲労の翳がある。「両親も妹たちもあって、頭も良くて、若いし奇麗で、体も丈夫で才能も人気もあって─だけどお前は不幸なんだよ…」「どうして? ……」「自分しか愛せない。不幸な人間だよ」
