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~夢の底─

第4章 冬色午後

──目を閉じた。
「そんな、……僕、ユノのこと─忘れてない……」下を向いたまま、ぼそぼそとチャンミンはロを利く。「違う…よ、いつも頭の中にあるよ……」「じゃ訊くが─あの子に非道かったの、何でだ?」ユノは不審そうな声を出す。「わからない。だけど…」涙の残る顔を上げ「僕はユノに片思いなんだよ」……涙の雫の揺れる睫毛。「お前の云うの…やっぱり、結局は自分のことばかり」どうしようもないと云うようにユノが俯いた。「わからない…って─自分のしたことが」「ユノだって、わかってない!」怒鳴った。
「わかってない…。─わかってないよ!」立ち上がり鋭く、目をユノに向け「弟だって─僕を、弟だって…云って……」  一瞬、整った貌が、踏み潰されたように歪んだ。「何で? …なんで、大事な、好きな人だって、僕を─」くるりと背を向けると床に座り込み、また涙が溢れたらしい顔を手で擦った。
 「チャンミン」戸惑った様子のユノが、泣き震える背中に声をかけた。「弟だよ。お前、…片思いだとかって…なにが…?」チャンミンはかぶりを振った。「…とにかく─、俺の話、よく考えて欲しい」「─それなら、…僕の話もユノに考えて欲しいね」

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