
~夢の底─
第1章 ─水と炎と。
「ありがとう…取りに来たんだ─」チャンミンは相手の顔に、微笑みかける。「脚本の裏に…チャンミンさんの名前があったから」ほっそりと見えるが、肩幅があり、敏捷そうな脚が頼もしい感じを醸し出す体型だ。「そう─気がついてくれて、良かった」その言葉に相手は一瞬、にこりとしたが、身を翻すと逃げ出すように自販機の向こうへ、駆け出した。
(名前も…きかなかった)控え室で、マネージャーの戻ってくるのを待ちながら、チャンミンは脚本のページをめくる。(かわいい感じ…アルバイトしてるのかな?)…小さな紙切れが、机にこぼれ落ちた。『チャンミンさん。よかったら、電話ください』ナンバーとメールアドレスも書かれ、漢字で書いた名前が、ハングル読みでも記されてあった。ヒース・ツィと綴られている。(あの子…が?)逃げるようにチャンミンの前から、走り去った後ろ姿が不意に浮かぶ。
小さな紙切れのメモを指先に挟み、考え込んでいると、ドアがノックされる。「待たせた、長引いた。─打ち合わせ、話込んでな」ズカズカ入って来るなり、マネージャーは喋りはじめた。手の中のメモをそっと脚本に入れ、チャンミンは喋り続ける彼の方を向く。
(名前も…きかなかった)控え室で、マネージャーの戻ってくるのを待ちながら、チャンミンは脚本のページをめくる。(かわいい感じ…アルバイトしてるのかな?)…小さな紙切れが、机にこぼれ落ちた。『チャンミンさん。よかったら、電話ください』ナンバーとメールアドレスも書かれ、漢字で書いた名前が、ハングル読みでも記されてあった。ヒース・ツィと綴られている。(あの子…が?)逃げるようにチャンミンの前から、走り去った後ろ姿が不意に浮かぶ。
小さな紙切れのメモを指先に挟み、考え込んでいると、ドアがノックされる。「待たせた、長引いた。─打ち合わせ、話込んでな」ズカズカ入って来るなり、マネージャーは喋りはじめた。手の中のメモをそっと脚本に入れ、チャンミンは喋り続ける彼の方を向く。
