
~夢の底─
第4章 冬色午後
「─ユノの気儘な一夜の…相手させられた。傷つけられた…」溜め息を吐いた。「あの夜のあとも、所詮、僕はユノの好き勝手になる末え子の弟」少し笑う。「兄に屈服させられる弟」ゆっくりと、動きもしないユノの脇を、淡い影が通り過ぎて、大窓に寄った。「僕ユノが初めての、…だからユノしか知らない。幸せ者だって、僕は思うよ。今でもユノが好きな─大事に想う人だからね…。でも、ユノは不幸だね。年は上でも、コドモじみた悪戯…。幼稚なことして、僕の純情を笑い物にして─年下を、僕を踏みにじって……今でもわからないのは…どうして僕がオクテなのが恥ずかしいことなのか…。ユノにそう云われて笑われたけどね。でも恥ずかしいのは、─どっちなの?」
何も云わず、絨毯についた両の手を見つめるすがたを取るユノは、石像の虎を、思わす。「─ユノとはもっと違うはじまり、したかった」
まるで、ソウルの夜の街の煌めきに告げる口振りだった。
何も云わず、絨毯についた両の手を見つめるすがたを取るユノは、石像の虎を、思わす。「─ユノとはもっと違うはじまり、したかった」
まるで、ソウルの夜の街の煌めきに告げる口振りだった。
