
~夢の底─
第5章 霙──
──消え入りそうな、空気を震わす小さい疾風を思わす霙……。
─ユノが眠りにつき、チャンミンはまた自室に戻った。目の粗い大きめのセーターの腕を組み、霙の街…ソウルの街灯が、夕刻にまだ早い時間、あちこちに点き始めるを見る。モノトーンのセーターが、青白い街灯の中に浮かび上がるようだった。
窓辺にかけて、霙に煙ってゆく街を見下ろしていると、ユノと二人だけで遠い国で旅を、している気がする。二人、逃れて霧にけぶる街に包まれている。
生まれた街…知りつくした、見慣れたソウルを、異国に思った。
…遥かの細長いビルの先端の瞬き、レースそっくりの霞が天空から降り、滲む。
「明日の晩から仕事復帰か…元気な顔で、出掛けられるな」チャンミンの差し出すロシア紅茶のカップを受け取り、レラの手が動くと、ブレスレットの`希´のチャームが銀に煌めく。
「ミルクも貰う」…注ぎ入れられるミルクのかぐわしさに誘われるように微笑むユノに、「飲んだらオレ帰る。おまえも眠れ、─外、凍えてる…」「夕方、昨日は霙降ったんです。昨夜は雨」「南の楽園から帰ったばかりのオレ…、体温調整が難儀よ」
─ユノが眠りにつき、チャンミンはまた自室に戻った。目の粗い大きめのセーターの腕を組み、霙の街…ソウルの街灯が、夕刻にまだ早い時間、あちこちに点き始めるを見る。モノトーンのセーターが、青白い街灯の中に浮かび上がるようだった。
窓辺にかけて、霙に煙ってゆく街を見下ろしていると、ユノと二人だけで遠い国で旅を、している気がする。二人、逃れて霧にけぶる街に包まれている。
生まれた街…知りつくした、見慣れたソウルを、異国に思った。
…遥かの細長いビルの先端の瞬き、レースそっくりの霞が天空から降り、滲む。
「明日の晩から仕事復帰か…元気な顔で、出掛けられるな」チャンミンの差し出すロシア紅茶のカップを受け取り、レラの手が動くと、ブレスレットの`希´のチャームが銀に煌めく。
「ミルクも貰う」…注ぎ入れられるミルクのかぐわしさに誘われるように微笑むユノに、「飲んだらオレ帰る。おまえも眠れ、─外、凍えてる…」「夕方、昨日は霙降ったんです。昨夜は雨」「南の楽園から帰ったばかりのオレ…、体温調整が難儀よ」
