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私の彼は****が好き

第9章 誰にも渡さない……っ

このときは死ぬほど必死で、(たぶんあたしが思ったほどの大声は出なかったと思うけど)


電車から転げるように降りると、一目散に走り出した。


一瞬、矢野先輩がぽかん……とした表情になった気もするけど、とにかく後ろを振り返らず、階段をかけ上がった。


「……はぁ……っ!はぁ‼……はぁ……!はぁっ……っ」


怒り狂った矢野先輩が後ろから追いかけてきて、あたしの腕を今にも掴まれる気がして……


心臓は壊れそうなくらい震えた。


やがて改札を抜けたところで息が上がって脚も止まる。


おそるおそる後ろを振り返ると、帰宅するサラリーマンや知らない人ばかり。


どうやら矢野先輩は追っかけてはこなかったらしい。


「…………っ」


あーーー怖かったぁぁぁぁ‼

ほっー……として深呼吸をする。



「絵里?」


とここで、急に名前を呼ばれビクッとした。



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