
私の彼は****が好き
第10章 イジワルな先輩に…………
*
次の駅であたしとタケルと先輩は電車を降りた。
車掌さんに連れられて事務室に。
そのときには、先輩は諦めたのか、すっかりおとなしくなって項垂れていた。
駅員さんから、あたしからも話を聞きたいって言われ、調書を作った。
事務室に入ると、本当に怖くなったのか、矢野先輩は人が変わったように土下座して謝ってきた。
先輩は泣いてるしあまりに必死だから、警察に通報するのはやめて、示談ということにした。
タケルは怒ってて、なかなか納得しなかったから、
二度とあたしに近づかないって誓約書を書いてもらって、なんとかタケルも納得した。
もし破ったら、痴漢のことを先輩の会社や家族にバラすって約束で。
先輩は最後逃げるように帰って行った。
そのやり取りにとても時間がかかって、全部済んで、事務室を出たときには、もう二時間も過ぎていた。
「……」
やっとタケルとふたり……。
ホームのベンチに腰を降ろした。
