父さん
第3章 サンタクロース
12月25日 朝
唯一全国の子供達が目覚ましより早く目覚める朝。
きっと母も同じくらい胸が弾んでいただろう。
以前にもこんなことがあった。
家を買う時、まだ小さかった私を実家に預けなければならない程喧嘩に喧嘩を重ね、ようやく仲直りという時。父は母に美しい花束を贈った。
母はその花を新居のリビング、一番目立つところに飾り、よくその花の絵を描いていた。
母の描く花はとても綺麗で、
真っ白だったスケッチブックにはたちまち花束でできたお花畑が広がっていった。
薄いピンクとオレンジに咲いたガーベラには水が滴り、その周りではほんのり紫に光るかすみ草がゆらゆらと風に踊っていた。
きっとこの日もその花を思い出し、普段から尽くしたかいがあったと頬を柔らかく緩ませていただろう。
父から話があると呼び出された母は髪をとかし服を着替え、元々大きかった目をよりぱっちりと見開き父を見つめていた。
私はというと、哀しいかな、サンタさんに無視される年齢になってしまったことを寂しく思いながら布団を畳み、ドアの隙間から両親の様子をこっそり覗いていた。
父の顔は見えなかった。
父の『話し』が始まって徐々に母の頬が強ばっていくのが見えた。
引き攣った母の顔。
いつまで経っても膝に置かれたままの父の両手。
ブラックサンタ
それは1年間、いい子にしていなかった子供に夜な夜なプレゼント替わりの嫌がらせをしていくというお仕置きサンタ。
しかし母が何をしたのだろう。
母は絵を描いただけだ。
何故サンタクロースではないのだろう。
何故母の前にはブラックサンタが座っている?
「家政婦にしか思えない。」
ダイヤが光るはずの部屋で母の涙が一粒二粒テーブルに落ちた。
「ちょっと...トイレ」
フラフラと立ち上がった母は、電話台にぶつかったことも気に止めずゆっくりと部屋の奥へと消えていった。
台から落ちた色えんぴつがバラバラと床を転げていった。
唯一全国の子供達が目覚ましより早く目覚める朝。
きっと母も同じくらい胸が弾んでいただろう。
以前にもこんなことがあった。
家を買う時、まだ小さかった私を実家に預けなければならない程喧嘩に喧嘩を重ね、ようやく仲直りという時。父は母に美しい花束を贈った。
母はその花を新居のリビング、一番目立つところに飾り、よくその花の絵を描いていた。
母の描く花はとても綺麗で、
真っ白だったスケッチブックにはたちまち花束でできたお花畑が広がっていった。
薄いピンクとオレンジに咲いたガーベラには水が滴り、その周りではほんのり紫に光るかすみ草がゆらゆらと風に踊っていた。
きっとこの日もその花を思い出し、普段から尽くしたかいがあったと頬を柔らかく緩ませていただろう。
父から話があると呼び出された母は髪をとかし服を着替え、元々大きかった目をよりぱっちりと見開き父を見つめていた。
私はというと、哀しいかな、サンタさんに無視される年齢になってしまったことを寂しく思いながら布団を畳み、ドアの隙間から両親の様子をこっそり覗いていた。
父の顔は見えなかった。
父の『話し』が始まって徐々に母の頬が強ばっていくのが見えた。
引き攣った母の顔。
いつまで経っても膝に置かれたままの父の両手。
ブラックサンタ
それは1年間、いい子にしていなかった子供に夜な夜なプレゼント替わりの嫌がらせをしていくというお仕置きサンタ。
しかし母が何をしたのだろう。
母は絵を描いただけだ。
何故サンタクロースではないのだろう。
何故母の前にはブラックサンタが座っている?
「家政婦にしか思えない。」
ダイヤが光るはずの部屋で母の涙が一粒二粒テーブルに落ちた。
「ちょっと...トイレ」
フラフラと立ち上がった母は、電話台にぶつかったことも気に止めずゆっくりと部屋の奥へと消えていった。
台から落ちた色えんぴつがバラバラと床を転げていった。
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