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Tears ~緑のしずく~

第11章 花水木の咲く町で

あなたは
 きっと私がプロポーズを
 一つ返事でOKすると思っていたはず

 そんなあなたの傲慢さを
私 少しだけ あなたに判らせてあげたかった

 むろん
たいした時間をおかずに
OKの返事を出すつもりだったわ

まさか そのわずかな間に
あなたの心に別の女(ひと)が
 忍び込んでくるとは
あの瞬間 考えもしなかったの

今から考えれば
 あの頃の自分が
どれだけ愚かなことをしでかしていたか判る

私がそのとき
どうしても はっきりとした返事を返さないのを見て
あなた 少し諦めたように笑って〝そうか〟と頷いてた  

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