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Tears ~緑のしずく~

第13章 22歳の花嫁~あの日に帰れるとしても~

それでも
 私は幸せのただ中にいた
 好きだと熱っぽく囁かれるたびに
 これまで感じたことのない不思議なときめきが身体中を駆け抜けた

 まだ若くて愚かだった私は
世間知らずで
 それがホンモノの恋と勘違いしていた

 二人で並んで歩いた神戸の
異人館街
 私の暮らす大学の学生寮前での
キス
すべてが遠い
 はるかな昔の出来事だ

 いったい
何が間違っていたのだろう
 ワイシャツのボタンを一つ掛け違えたように
 私たちの関係は次第にかみ合わなくなっていった

 

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