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Tears ~緑のしずく~

第13章 22歳の花嫁~あの日に帰れるとしても~

明日からは
 ずっと一緒にいられるな
 二人だけになると
待ちかねたように抱き寄せてくる
 あなたの胸の中で
〝結婚〟という二文字が
私の中で
何か特別な意味を持つ魔法の言葉のように輝いて見えた

 友人たちに祝福されての
華やかな結婚式
 そう あの日
私は確かに幸福のただ中にいたのだ

 22歳の花嫁は
 本当に何も知らなかった

 あれはいつのことだったろう
結婚して二年目の夏
 うだるような暑い昼下がり
生ぬるい静寂をつき破るように
 電話が音を立てて鳴り響いた

 それが すべての
   始まりだった

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