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黄金協奏曲

第1章 #1 二宮side

「あー終わったぁー!」

ベンチに横たわった。

少し赤くなった空を見上げる。

「あの子モテんだろうな~」

ボーッとしていても佐藤ゆりの顔を思い出す。

ピタッ

「うわっ!!!!つめってー!!!!!
 なんだよ…智か。」
大「ふふふ笑
  はい、ジュース笑」

笑いながら缶ジュースを渡してくる。

「おう、サンキュー。」

俺はベンチに座りなおして智はその隣に座る。

プシュッ

大「んーっまい!!!!
  疲れたあとのジュースは最高!!!!」
「ジジイかよ笑」
大「でも美味いでしょ?」
「美味いけど笑」
大「でしょー?笑」

二人で夕空を仰ぐ。

大「そういやさっき言ってたの誰のこと?笑」
「えっ?」
大「いやだから笑
  さっき『あの子モテんだろうな~。』
  って言ってたじゃん!すっげー気になる笑」

聞いてたのか…。

隣で智が興味津々の目を俺に向ける。

「気になる?」
大「うん。気になる!」
「すごーく気になる?」
大「うん。
  すごーくすごーくすごーーーーく気になる!!」

はぁ…。

「……俺が今日案内してやった1年A組の生徒で。」
大「うんうん」
「すっげー美人がいたわけ。」
大「ほう!」
「…それだけ。」
大「…え?」
「ん?」
大「それだけ?」
「うん。それだけ。」
大「だけ?」
「…だけ。」

智の表情が「つまんね」と言っている。

大「なんだよーつまんなーい!」

あ、声に出しやがった。

大「こう。ほらさ、なんかあるでしょ?」

なにがだ。

大「付き合いたいな。とか思わないわけ?」
「馬鹿。1年だぞ。1年。」
大「いいじゃん笑」
「接点もこの先あるわけないし。
 しかも美人と思っただけで付き合うとかまぁないない。」
大「ふーん。」

俺はジュースの最後の一口を飲み干し立ち上がった。

「帰るぞ。」
大「え、まって~!!!!」


1年A組。佐藤ゆり。

また会えたらいいな…。
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