濃密 恋絵巻
第1章 ~タイムスリップ…!?~
スコールの様な豪雨と、耳を塞ぎたくなるくらいの雷が鳴り響いている中…
一軒家が並ぶ住宅街。
ごく普通の家から、高校の制服を着た少女が傘をさしながら飛び出て来る姿があった。
背は150cm位のちょっと低めで小柄。
外見は中学1~2年のように見えるが、制服からして高校生のようだ。
色素が抜けた様な褐色の髪は、肩につく位で前髪は目より少し上で下ろしている。
可愛らしい童顔と華奢な身体つきは、ロリコンにモテそうな印象だ。
この少女の名前は、坂下(サカシタ)ゆりな。
今日は待ちにまった高校の入学式の日だが…
「お母さんっお父さん、 早くしないと遅れちゃ うっ!!」
「ちょっと待って、今お 父さんの傘を探してる から…
お父さん、前使った時 ちゃんと持って帰って 来たの?」
「ああ…多分…」
玄関でモタモタする両親を、ゆりなはしびれを切らしながら見つめた。
その時、近くで鳴っていた雷が突然頭上で稲光となってゆりなを直撃した。
「ゆりなぁーーーっっ! !!」
母の叫び声が耳の中で木霊して、ゆりなの意識はそこで途絶えた――――………