濃密 恋絵巻
第1章 ~タイムスリップ…!?~
あれ…?わたし…死ん だの…?
…身体が…動かない…
徐々に戻りゆく意識の中、ゆりなは重たい瞼をゆっくりと開いた。
そして視線の先には見慣れない木造の天井があり、首だけを動かして辺りを見渡した。
8畳はありそうな和室には家具らしき物は何もなく、押し入れらしき戸があるだけだった。
…わたし…生きてる… ?
…あ…畳の良い匂い…
……って、和んでる場 合じゃ…
「やっと目を覚ましたか 」
突然聞こえてきた低く落ち着いた男の声に、ゆりなは驚いて視線を走らせた。
すると直ぐ横に、長身長髪美形の姿があり思わず息を呑んだ。
20代前半位で、180cm以上はある長身はモデル級だ。
背中まである銀髪はストレートで、絹のように細くサラサラしている。
そして切れ長の鋭い目が特徴的な整った美しい顔は、どこか人間離れしているように見える。
服は上下白の衣とモンペを着ていて、現代では珍しい代物だ。
えっ…綺麗な人……
えっえっ…どうしよう っ…
「具合の方はどうだ?」
そう落ち着いた口調で言いながら、美形はその場に胡座をかき様子を伺うようにゆりなを見つめた。
きゃーーっ
そんなに見つめないで ぇーーっ
「どうした?
少し顔が赤いぞ…熱で もあるんじゃ…」
「えっ、いやっ」
美形の手が額に触れた瞬間、ゆりなの顔はもっと赤くなり固まってしまった。