濃密 恋絵巻
第2章 ~歪んだ想い~
「それはどうかしら」
身軽な動きで宙に舞い刀をかわした後、月蔭の背後に着地するなり口から糸を吐き出した。
月蔭は一振りで糸を蹴散らし、琴刃の心臓部分を的確に狙い刀を振り続けた。
だが、琴刃のスピードの方が上なのか難なくかわされてしまう。
月蔭は何も言わなかっ たけど…やっぱりずっ と苦しかったんだ…
どうしたらいいのっ… !?
「ふふ…
だいぶ体力も妖力も衰 えてきたわね」
「はぁっ…はぁっ……」
月蔭の額には大量の汗が滲み、一瞬視界がぼやけふらついてしまった。
「くっ……」
「月蔭っ!!」
「ちっ…耳障りな声…」
離れた所で叫ぶゆりなに、琴刃は睨みつけながら口から針の様な物を発射した。
「っ……!?」
あれ…?
…体に力が入ら…ない ……
針が命中したゆりなは、全身の力が抜けるようにその場に座り込んでしまった。
「ゆりなっ!」
「ふふ…ただ麻痺してる だけよ
騒がしいから大人しく なってもらったの
死んでしまったら、せ っかくの儀式を見られ ないでしょう?」
「儀式?」
「ふふ…」
企みを含んだ笑みを浮かべるなり、琴刃は物凄い速さで月陰の胸の中に突っ込んで行った。