「先生、食べちゃっても良い?」
第12章 特別室 その参
望みを聞いて貰えるとは思っていない。キョウ君が誰とSEXしようと、それを決める権利はキョウ君にある。
でも……騙されようと愛して貰えなくても、心がキョウ君の事を求めてしまっていた。こうなると理性が抑えられず冷静ではいられなくなるという事も分かっているのに。恋に落ちた時からもう、私はキョウ君の虜になっていたのだろう。
「……先生、もう一回言って。俺の事、何?」
「好き。キョウ君が好き……」
腕を掴んでいる両手にぎゅっと力を込めると、指先が緊張からかぶるぶると震える。
人に告白したのはいつぶりだろう。……それぐらい覚えていないし、自分からは今まで殆ど気持ちを伝える事はなかった。
「先生って、やっぱり変わってるよね。……俺みたいなのがまだ好きなんて」
顔を上げると、寂しそうに笑うキョウ君と目が合う。