「先生、食べちゃっても良い?」
第2章 特別室
私は曽根崎君の言葉を拒否する様に、曽根崎君の両肩をぐっと押した。
それが不満だったのか、曽根崎君の眉間に少しだけシワが出来る。
「嫌なの?」
「あ、当たり前です! 私と曾根崎君は教師と生徒なんだから……キスなんてしちゃ駄目だし、男女交際も禁止されているんです!」
「……教師と生徒? 男女交際禁止? ふーん。じゃあ仕方ないね」
曾根崎君が突然ゆっくり椅子から立ち上がると、帰る気になったのかと私はホッと安心した。
……のも束の間。
「……先生、食べちゃっても良い?」
ニコッと微笑むその笑顔からは信じ難い言葉が聞こえてきたのは気のせいだろうか。
いや……気のせいではない気がする。