バラードは君だけに
第3章 彼氏
ここは、どこだろう?
私の前に続く一本道を、一人の男の人が歩いていた。
私はその人の事がどうしても気になって
『待って!!』
って、一生懸命追いかける。
あなたは一体誰?
海斗?
ううん、違う。
海斗の髪はその色じゃないから。
走っても走ってもなかなか追いつけなかった。
お願いだからこっちを見て!
すると、私の心が届いたのか男の人が急に立ち止まったのだ。
ドクン!
そしてゆっくりこっちに振り返る……。
しかし顔がぼやけていて、誰かはわからなかった。
次に「えっ」と私は驚く。
彼が私に向かって、手を差し伸ばしてきたのだ。
私はその手を掴もうと、ひっしで手を伸ばすが、あともう少しで指と指が触れそうになった時…!
「はっ!?」
私は目を覚ました。
コチコチと時計の音だけ響く自分の部屋。
今のは夢だったんだ。
私はすごく寝汗をかいていた。
そして、目も涙で濡れていた……。