バラードは君だけに
第4章 フラッシュバック
演奏が終わると、一瞬の静寂があった。そしてパラパラとした拍手の後、その音は次第に大きくなっていった。
席に戻るとき海斗は下野君に言われた。
「海斗すげーうまいじゃん!どうしちゃったの?」
「だろ?オレ昔からリコーダーだけは得意だったんだよね」
ぷっ。
私もサオリとレイナに言われた。
「ねえまじで感動したんだけど。あんた達本当に息が合ってるね。うらやましい」
「さすが恋の力ってヤツよね〜?やけるわー」
「二人共応援ありがとう。今日は今まで練習した中でも一番良かったの!」
全てのグループ演奏が終わり、先生が総評を述べる。
「えー今回はどのグループもそれぞれに個性が出ていて、大変素晴らしかったです。
しかしその中でも先生は特別に、吉野鈴木ペアにベストカップル賞を送りたいが、どうだろうか?」
ええっ?
またみんなの温かい拍手が響いた。
ベストカップル賞……!!
私と海斗は思わず顔を見合わせ、笑った。