バラードは君だけに
第5章 会いたかった人
「さっき偶然君の話、聞いてしまった」
「あ…やっぱり」
「それが本当なら、海斗の言うとおりもう家には帰らなくていい」
「ふっ。心配していただいてありがとうございます。でも、帰らないわけにはいきませんから」
「じゃあ、これから僕が君の面倒を見ると言ったら?」
「え?」
一体彼が何を言っているのかわからなかった。
「このまま不動産屋へ行って、部屋を探そう」
「部屋を借りるって、お金がかかるんですよ?あなたにそんな事してもらうわけにはいきません」
「お金の心配ならしなくていいさ。
僕は大学生だけど、モデルの仕事もやっていて結構稼いでるんだ」
モデル…あぁ、だからこんなに雰囲気があるのね。
「どうしてそんな事言うんですか?」
「僕がそうしたいから。ただそれだけだよ」
と湊さんは微笑む。
「…」
これは、夢だよね…。
こんな話有り得っこないもの。