バラードは君だけに
第6章 僕が保護者になる
「家にある持ち物は、明日一緒に取りに行こう」
「ええ」
私は湊さんとファミレスで、これからの生活について話していた。
しかし湊さんの提案に、私は衝撃を受けることになる。
「美羽ちゃん」
「はい」
「これから僕が君の保護者だから、生活にかかる費用はすべて僕にみさせてくれ」
「それはだめですっ。部屋を借りて頂いただけでありがたいので…。それに私バイトだってしてるから、なんとか一人でやれますよ」
「やれるわけないだろう。家賃だって光熱費だってかかるんだぞ?」
「どうしてそこまで優しくするんですか?
私は湊さんに、何もしてあげられないのに…」
「何もしなくていい。ただ君を…愛情のかけらもない家に帰したくないだけだ」
「…っ」
この時の私には、まだ湊さんの本当の真意などわかるはずもなかったのだ。