バラードは君だけに
第7章 二人の彼
朝食を食べながら湊さんが私に聞いてきた。
「ところで、もう志望校はどこにするか決めたの?」
「いえ、私は卒業したら就職するつもりですから」
「でも、ほんとは進学したいんだろう?あきらめるなよ、奨学金制度だってあるんだ」
「いいんです。元々やりたい事もなかったし、これ以上良くしてもらうわけには」
すると彼は言う。
「やりたい事なんて、大学に通いながら見つければいい。だから、」
「勉強、好きじゃないから。それに私は…」
湊さんに優しくされるほど、反発してしまう可愛げのない自分だった。二人でいるこの時間さえ、どんなに貴重なものかもわからずに。