バラードは君だけに
第7章 二人の彼
ひと月後。
海斗の傷害事件に対する、学校側の謹慎処分も解け、また元の生活へ戻りつつあった。
そんな朝、海斗と学校へ向かう途中。
「今日の帰りさ、美羽んち寄っていいかな?」
「…い、いいけど。そっか、海斗には私の新しい部屋、まだ見せた事なかったね」
すると海斗が私の顔を覗き込んで言った。
「どうしたの?神妙な顔して。あ〜、もしかして今変なこと考えてたろ」
…っ!
「は?な、何も考えてませんけど」
「オレは美羽に、勉強の遅れたところを教わろうと思ってただけだよ?」
「だから私は何も」
「へっへー!」
「ちょっと待ってよぉ…っ!」
バス停まで駆け出す海斗を、ひっしで追いかける私がいた。