バラードは君だけに
第10章 壊れてゆく心
海斗side
下野達はまだカラオケに興じていたけど、オレだけ先に抜けてきた。
急に美羽の顔が浮かんで…。
今日のあいつどことなく様子が変で、オレは気になってたんだ。
コンビニで美羽の好きなアイスを買って行った。
ーーーー
十九時か。今頃テレビでも見て、くつろいでるんだろうな。
オレはドアのチャイムを鳴らした。
ピンポーン!
「……ん?出ないな」
もう一回鳴らしてみる。
やはり応答がない。
いないのか?
ガチャッ、
ノブを回すと鍵が開いていた。
オレは中に入り声をかけた。
「おい美羽!危ないじゃんか、鍵もかけず……」
部屋は真っ暗だった。
慌てて明かりをつけた。
だけど
その時のオレには、まだ何が起きているのかわからなかった。
美羽は制服のまま静かにベッドに横たわっていた。
そしてオレは気づく。
その横顔に涙の筋がついているのを……。
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