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バラードは君だけに

第13章 どんなに遠く離れても


駅を降りて歩いていると、アルバイト募集中の張り紙がしてあったこのお店を見つけた。

マスターとママは年配の人で、私を快く雇ってくれた。
二人には子どもがいなかったせいか、こんな見ず知らずの私を娘のように可愛いがってくれ、住むアパートまで探してくださったのだ。


時間は朝七時から、休憩を挟み夜七時まで。
基本はウエイトレスだけど、ママ達が買い出しに行っている間は私が一人でなんでもやる。
飲み物も軽食も、ひと通りは作れるようになった。
私はこういう体を動かす仕事が合っているみたい。


毎日があっという間に過ぎ、気がついたらもう八年も経っていて、私は二十六だった。

ーーーー

ランチのピークが過ぎた午後。

カラン…


「いらっしゃいませ」


常連の入野さんと中村さんがやって来た。


二人はこの近くの工場に勤める工員さんだ。仕事の息抜きに、よく麻雀ゲームをしに来る。


「美羽ちゃん、アイス二つね」

「はーい!」


実は私は中村さんに、ついこの間交際を申し込まれていた。

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