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バラードは君だけに

第13章 どんなに遠く離れても


八年後。


カラン…


「いらっしゃいませ」


私はトレーに乗せたお絞りとお水をお客さんにお出しする。

「ホットね」


「はい、かしこまりました」


私はカウンターにいるマスターに注文を伝える。

ーーーー

ここは、小さな町の小さな喫茶店。
昭和の香りが漂う、レトロな造りのお店だ。


私はあの日電車を乗り継ぎ、こんな遠くまで何の宛てもなく、一人でやって来た。


貯金と最小限の荷物を持って、


湊さんと海斗にお別れも告げずにやって来た……。

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