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太陽も泥でできてるらしい

第2章 晴れの日の話

私は半ば吸い寄せられるように、その蛇口に足を進めた。顔も胸もお腹も脚も、私の肌には全てじっとりと汗が滲んでいた。上半身の汗は私とシャツとの間に吸い付き、肌の色とパンツと同じ地味な下着の色を透かせている。
幸運なことにその蛇口は死角にあった。裏門側から誰かが入ってこない限り誰にも見られることはない。

私は蛇口の下に頭を入れると、右手でそのバルブを捻った。キュィみたいな音がして、思ったより勢いのある水が私の頭にぶっかけられる。気持ちいいー。ワシャワシャと髪を洗うようにしながら、時々その水を顔へと持ってくる。
シャツのボタンを3つくらい開けて、手に受けた水を注ぎつつ塗りたくる。ひんやりとしたその感覚が私の熱を癒してくれる。
「ひゃっ」
思わず声が出てしまった。胸の間から水がお腹へと流れて、スカートを少し濡らしてしまう。まぁ、これだけ暑けりゃ干せば乾くかな。
おなか周りが少し濡れたスカートをギリギリまであげて太ももを水で流す。太ももに当たった水がバチバチと跳ね返って顔とか服とかをまた濡らす。

あぁ...至福だ...

そんな感じで私は、16にもなって、10分以上、一人で、学校内にも関わらず、水浴びをしていた。
我ながら、馬鹿だとは思う。でもやっぱり。


人間は感覚から逃れられないんだと思った。

だって気持ちいいもんね。



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