それは恋のレッスン
第3章 ☆長谷川書道教室
会社の男性優位な体質に、妙齢な自分の立ち位置がひどく不安定なものになって来ているのをヒシヒシと感じてしまうのも、嫌気がさしてしまう理由のひとつだ。
もちろん結婚が全てじゃない。うちの会社にだって数は多くないけれど、独身のままバリバリ働いている女性だっていないわけじゃないもの。
でも・・・。私には仕事をバリバリこなしてキャリアウーマンとして生きる・・・そんな気構えや覚悟はまだなかった。
そんな風に周りがどんどん変わっていく中、八年前の出来事を未だ引き摺って、もやもやとした焦りを抱えての日々は、何だか自分だけおいてけぼりにされているような、そんな気がして。
だから、課長のあの言葉にいつもより過剰に反応してしまったんだと――――、そんな風に思う。
でも。私は変わりたかった。
もしかした何かひとつ自信が持てたら、変われるかもしれない、そう思った。
だから、気持ちに突き動かされるまま、あれから善は急げと直ぐに教室を探したのだ。