それは恋のレッスン
第3章 ☆長谷川書道教室
「不純な動機だし、私、字が物凄く汚い、書道初心者なんですが、こんな私では書道…難しいでしょうか」
「大丈夫。字の上手い下手は、ちょっとしたコツなんです。
なにより、楽しむことが大事なんですよ。
楽しければ、結果はおのずとついてきます。
はじめはみんな初心者ですし。
教室のみんなだって、僕だって、そうでした。
何より、書道をはじめることで、宇佐美さんが自信を持ってくれたら・・・僕は嬉しく思います。一緒に……頑張りませんか?」
先生もはじめは初心者だったんだよね。・・・・当たり前なことだけれど、その言葉に私はに勇気を貰った。
こんなミミズがはったような私の字が、美文字に生まれ変わったらきっと自信が持てるに違いないもの。
この先生の指導の下でなら、何だか出来そうな気がしてしまうのは、イケメンなのはあまり関係はない。『一緒に頑張りませんか』その一言が私をこの教室に通いたいとそう思わせた。
先生がそっと差し出した手を、私は握り返すと大きく頷く。
―――それは、止まっていた私の歯車がゆっくりと周り始めた瞬間だった。