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銀魂

第23章 どうでも良い事に限ってなかなか忘れない

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銀さんがあたし達の前から消えて数日がたった。


新八君に万事屋はもう壊れそうで危ないから道場に来いと言われたがあたしと神楽ちゃんはそれを拒否しずっと万事屋に居る。


流石にお風呂は入らせてもらっているけど・・・


でもそれ以外ぽっかり穴のあいた天井を2人で見ながらずっと酢昆布を食べていた。


新)「悠さん、神楽ちゃん。まだここに居るつもりですか?ここ、本当に崩れて着た危ないから道場に来て来てください。姉上も定春も待ってますよ」


悠・神)『ポリポリポリポリ・・・』


私と神楽ちゃんは新八君の話を無視する。


新)「いい加減ににろォォォォ!!ポリポリポリポリ!!堀さんかお前等は!!こんなに酢昆布を買って‼︎……ひょっとして2人とも銀さんが帰ってくるまでここで待つつもりなの?」


悠・神)『ポリポリ』


新)「…お医者さんが言ってたよね。人の記憶は木の枝のように複雑に入り組んでるって。だから木の枝一本でもざわめかせれば他の枝も動き始めるかもしれないって…でも、もし木、その物が枯れてしまっていたらもう…枝なんて…落ちて無くなってしまっているかもしれない。僕らみたいな声だなんて…銀さんはもう…」


神)「枯れてないヨ」


神楽ちゃんは食べていた酢昆布を口から離す。


神)「枯れさせないヨ、私達小枝かもしれない…でも枝が折れてしまったら本当に木も枯れちゃうヨ。だから私折れないネ。冬が来て葉が落ちても風が吹いて枝がみんな落ちても私は最後の1本になっても折れないネ。最後まで木と一緒にいるネ」


新)「神楽ちゃん…」


悠)「神楽ちゃんの言う通りだよ」


私も酢昆布を口から離し喋り始める。


悠)「私達が銀さんの帰りを信じて待ってなかったらダメじゃない。だって4人揃って万事屋でしょ?」


新)「悠さんまで…」


そう。


もし銀さんがここへ帰ってきた時「ただいま」って言う相手がいなかったら悲しいじゃない。


それに…


それにあたしまだ銀さんに『好き』って伝えてない。
自分の思い伝えてないよ。


なのに離れて行っちゃうなんてそんなの嫌だ。


あたしは無意識にキュと着流しを掴む。

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