きみじゃなきゃだめなの
第2章 きみじゃなきゃだめなの2
差し込んだってやさしい感じじゃなくってつっこむって感じ。
「お前はむかしっから歯磨き嫌がってたもんな」
しみじみとつぶやいて、左手で私のあごを持ち上げて。
顔が近いって…
なんで指つっこむの?
え?なに?なに?
彼の指がわたしの口の中をまさぐって何かを探すようにうごめく。
人差し指の先で歯のエナメルをなぞられて、
親指の腹でほほ肉をくすぐられて…
ん…すごい変な感じ…
歯立てないように、舌も動かさないようにって
してるせいでうまくのみこめなかったよだれが
口の端から落ちる頃、
やっと何かを見つけたって嬉しそうな顔をした
「ほら、もう噛むなよ、虫歯になるだろ」