テキストサイズ

デスサイズ

第3章 Episode3 挫折




2年A組 教室内



朝礼が始まっておらず、賑やかな会話が響いている教室に、ガラガラと扉を開いて入る黒斗。


「あっれえ? 今日は月影だけ?」

入口側の席に座っている同級生の内河 松男(うちかわ まつお)が底意地の悪そうな笑みを浮かべて、黒斗を見る。


「橘はどうしたんだ?」

「…………」

「ハハア、そうかそうか。遂に橘に愛想尽かされたんだな」


黒斗の無言を都合よく解釈した内河は、勝ち誇ったように頷く。


「邪魔な月影さえ消えれば、橘が俺の女になるのも時間の問題だな」



内河が鈴に好意を抱いていることは、本人は秘密にしているつもりだがクラスメート全員にバレている。

彼は思ったことを無意識に口に出してしまう癖があり、良くも悪くも嘘がつけない人間なのだ。



「どうでもいいが、また言葉に出てるぞ」

ニタニタと不気味に笑う内河にツッコミを入れるが、全く耳に入っていない。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ