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第3章 Episode3 挫折




放課後 赤羽病院内 廊下


学校が終わるなり、黒斗は鈴を連れてやって来た。



「……ここか」

2人は看護婦に教えてもらった病室に辿り着くと、扉の横にあるプレートに書かれた名前を確認し、扉を開けて中に入る。


「よう、佐々木」

「あーっ、兄貴!! 来てくれたんだ!」


ベッドで横になっていた玲二は黒斗の姿を確認した途端、パアッと明るい笑顔を浮かべた。


「あれっ? 後ろにいる女の子……誰?」

黒斗と一緒に病室に入ってきた鈴を見た玲二が、首を傾げる。



「ああ、コイツはクラスメートの…」

「分かった!! 兄貴の恋人さんだねっ!」


鈴の紹介をしようとした黒斗の言葉を遮って、玲二が自信たっぷりに言い放った。


「……こんな煩いのが彼女とか冗談じゃな…」


バシッ


黒斗が言い終える前に鈴が彼の頭をはたき、小気味良い音が響いた。


「はじめまして玲二くん! ウチ、クロちゃんの同級生の橘 鈴っちゅうんや! よろしゅうな!」

「あ、はい。こちらこそ!」


事前に黒斗から玲二の話を聞かされていた鈴は、スムーズに自己紹介を済ませ、握手をした。

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