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第4章 Episode 4 すれ違い




有理が自殺したと聞いた時、確かに悲しかった。

いくら酷いことをされたって、元は親友。
亡くなったとなれば、やはり悲しい気持ちになる。



だけど



有理が死んだ時、悲しみよりも安堵の気持ちが強かった。


―これでもう、有理に怯えずに済む


頭に浮かんだのは、真っ先にこの言葉だった。

親友が亡くなったというのに、こんな不謹慎なことを思った自分に激しい嫌悪感を抱き、改めて己が、どれほど薄情で汚い人間なのかを思い知ったのだった。




(……こんなオレだから、神様が罰として絵を描けなくしたのかもね)

ネガティブなことを考えてしまい、頭を振って考えを消す。


(……今は考えないようにしよう。考えれば考えるほど、自分が嫌いになる)



暗い気持ちを吹き飛ばすように、無理に玲二は明るく振る舞う。

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