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第1章 Episode 1 断罪者



「江角は捜査の指揮をとっている警部を買収して、罪を見逃してもらっていた。そして3回目の犯行に及んだ時、友人である田島に罪をきせるように警部に頼んだんだ」

「でも、あの子はソレを知っとるんやろ!? それやったら警察に話せば無実を証明出来るんとちゃうか!?」

「現場の指揮をとっている警部が買収されてんだぞ。揉み消されるか、容疑者の家族が言うことなんか最初から信じられずに終わるかだろ」


黒斗が告げた無情な現実に、鈴はガックリと肩を落とした。

「あの女は、人を殺しておいて何の裁きも受けへんの? そんなん……そんなんおかしいわ!!」

「俺達が知らないだけで、世の中には罪を犯しながらも裁きを受けない奴らは沢山いるんだ。法律、権力、金、隠蔽(いんぺい)……そういったものに守られた罪人がな」

「……ソイツらは、誰も裁けへんの…?」

「…………」


絞り出されたような鈴の言葉に、黒斗は何も答えられなかった。

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