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第1章 Episode 1 断罪者



「人が裁けないのなら……死神が裁いてくれるのを待つしかないんじゃないか?」


大神の言葉に、無表情だった黒斗が眉を潜めた。


「死神ね……そう都合よく死神が罪人を殺すとでも?」

「僕は死神は無差別に人を襲ってる訳じゃないと思ってる。……例えば、悪党だけを狙ってるとか理由があるんじゃないか」

「悪党って……ケイちゃんは悪党ちゃうで!」

身を乗り出す鈴を黒斗は片手で制し、大神の赤い目を見つめる。


「……死神を美化しすぎじゃないか、転校生さんよ」

「別に美化しすぎてる訳じゃないさ。もし、そうだったらなって考えただけだ」


口角を僅かに吊り上げる大神に、黒斗は舌打ちをする。


「そろそろ失礼させてもらう。僕は暇人じゃないからな」

「あ、ちょっと待ってや!」

鈴が呼び止めるが、大神はさっさと病院の出口に向かって歩いて行った。



「行ってもうた……何で大神くんが、事件の事に詳しいか聞きたかったのに」

残念そうにする鈴。

「……気に入らないな、アイツ……」

一方、黒斗は眉間にシワを寄せて不機嫌な表情を浮かべるのだった。

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