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第1章 Episode 1 断罪者




「今回、現場から発見された凶器のナイフからはお前の指紋が検出された。まだ認めない気か?」

「そんなナイフ、私は知らない!! お願い、もう一度捜査をし直して!」


彼女は懇願(こんがん)するような眼で平田を見た。

「私には妹が居るの! 私が居なくなったら、誰も頼れる人が居なくなる……お願いだからちゃんと捜査して! きっと何かの間違いよ!!」


声を荒げる田島の頬を平田が容赦なく叩き、長く艶やかな黒髪を掴んで無理やり顔を向けさせる。

「うっ、く……」

「やった、やっていないとかどうだっていいんだよ。お前が有罪となることは最初から決められてるんだ。諦めな」


平田は乱暴に田島の髪から手を離し、取調室の出口へと向かった。

その背中を田島は怒りと憎しみを込めた眼で睨みつける。


「……こんなこと許されると思ってるの……? いつか、きっと天罰がくだるわよ……」


田島の言葉を平田は鼻で笑い、取調室から出ていった。

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