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第3章 Episode3 挫折




1人で学校に向かう黒斗。



「……オラ、出せ!」

ドスを効かせた怒鳴り声が耳に届き、黒斗は足を止めて、声の出所を探す。


「泣いてないで早くしろよ!」


人気の無い路地裏から声が聞こえ、その場所へと歩いていく。





「早く金を出せっつってんだろ!!」

「ひ、ひいい……」

狭い路地裏で、5人の大柄でガラの悪い男が1人の少年を取り囲んでいた。

猫っ毛の銀髪の少年は恐怖のあまり、腰を抜かして地面に尻餅をついている。

「お前がボケッと歩いて、俺のダチにぶつかったせいで腕の骨が折れちまったんだぞ!! 治療費と慰謝料よこせや!!」

「で、でも……」



瞳に涙を溜めて狼狽(うろた)える少年の胸ぐらをスキンヘッドが乱暴に掴む。

「落とし前つけねえってのか!? こんなにも痛がってるってのに!!」

スキンヘッドがそう怒鳴ると、後ろにいたモヒカン頭がわざとらしく右腕を抑える。


「ああ、イタイよー! 腕が痛くて死にそうだー!!」



小学生以下のヘタクソな演技に思わず黒斗が失笑すると、気配を感じた5人の不良が振り向いた。



「何見てんだコラア」

リーダー格の金髪がお決まりの台詞を口にして、黒斗が鼻で笑う。

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