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第3章 Episode3 挫折



「野郎! 何がおかしい!!」

金髪が怒りを露に黒斗に詰め寄ってくる。


「別に……自分より弱い相手にしか威張れない、愚かな奴らだと思っただけだ」

「この野郎がああ!!」

嘲笑する黒斗に、血管を浮き出させながらキレた金髪が拳を振り上げて殴りかかる。



だが



「遅い」



拳が黒斗に当たるよりも早く、右足が金髪の股間にヒットしていた。

グラリ、と金髪の巨体が仰向けに倒れこむ。

白目を剥き、口からは泡を吹いており完全に気絶している。


「う……うわあああ!! リーダーがやられたー!!」

一瞬でリーダーを倒されて、残りの4人はさっさと退散していった。



後に残されたのは黒斗と少年、そして倒れている金髪だけだ。



辺りを見回した黒斗は、つまらなそうに溜め息を吐き、踵を返す。

「あっ、ま、待って!」

呼び止められて振り向くと、尻餅をついたままの少年が黒斗を見つめていた。


「あの、助けてくれて、ありがとう! この間も、ご迷惑おかけしました」

「この間?」

身に覚えのないことを言われ、腕を組んで暫し思考する。


「覚えてませんか? コンビニで、タマゴ割っちゃった客ですけど」

「タマゴ……ああ」


合点がいったように黒斗はポン、と手を叩き少年を見下ろした。


「サイフを落として小銭をバラまいた挙げ句、突き飛ばされてタマゴを割った奴か」



黒斗がバイト中にレジを打ち、モタモタと小銭を出して、林に突き飛ばされた客と容姿が一致する。

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