百鬼夜行左藤家黙示録
第10章 堕落の果て
あれほど義男の存在を周囲に
隠していたのにここにきて公開するとは
これが義明なりのけじめなのか
そんな事が頭をよぎるコンマ数秒
日本酒の底を真上にして飲み干し
魔獣のような奇声をあげる
「キィィイエェェエー!!」
幸い体育教師その他が取り押さえ
万事は免れたがその大立ち回りを見るに
クラスメイト達は誰も動けなかった
人の性格の大部分は幼少期の
家庭環境によるものとされる
そういう意味では
100%義明が悪いわけではないのだが
義男を見てしまっては
誰も何も言えないのは当たり前である
その日から義明は
害虫から宇宙人のように格上げされ
周りからの見方も変わったようだ
もちろん人がますます寄らなくなったのは
言うまでもない事なのだが