百鬼夜行左藤家黙示録
第15章 儚い希望
「はい安いよ安いよー!」
そうだ
これはたしか義明がテニス部入部の時の
「定価500円だけど300円だよ!」
「もう少し安くなんないのー?」
今度は左藤文房具店の開店か
私は前言を全力で撤回したい
「えーい持ってけ泥棒!
2つで500円でどうだ!」
泥棒はお前だろう
いったいこの男は何を考えているのだろうか
どうやらグリップがゲル状のシャーペンを
大量に出品しているようだ
たしかにまだ世に出回ったばかりで
校内の流行の最先端を捉えているのは確かだ
ただし今それは関係ない
「義明!お前ちょっと来い!」
私は義明を引っ張って事情聴取をした