
百鬼夜行左藤家黙示録
第6章 暴走果てしなく
実は義男としては義明だから
特別扱いなどしたりはしない
家族サービスもない
ただ毎日の繰り返しが暇で
金も仕事も当然無い
つまりこの日は義明をいじめる
ただそれだけのために連行していたのだ
恐ろしいほどに性格が悪いが
そんな事は義明も
なんとなくわかっている
それを逆手に取って考えた義明は
店の入り口の方に目を向けた
すると店員に問い詰められている様子を
扉を少し開けて笑って見ていたのだ
義明はこういう展開を幾度となく
打破してきたのだ
そして呟く
『逃げ切れば終わりじゃねー
捕まってからが勝負なんだ!』
終わりの方がよさそうな名言だが
今まで何度でも捕まってきた義明は
こういった状況下の方が燃えるようだ
「会計いくらですか?」
払えるはずもないのに尋ねる
