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夜が開けるまで

第7章 葛藤


運命論を語るなんて、この人には邪道だ。


由紀は、そう直感した。


「運命は信じるものでも、未来に期待するものでもなく、自分が歩んできた道のことではないでしょうか」

彼女もまた、グラスに視線を落として答えた。



そう、運命は美しいものじゃない。

まして、用意された出会いでもない。



自分の先ではなく、振り返って見た先にある、長い長い道程が運命なのだから。





運命の出会い?




そんなもの。ただのまやかしにすぎない。








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