夜が開けるまで
第4章 禁断の果実
用心深い由紀はなかなか拓馬に心を開かず、時に彼をじらした。
「彼女なんだから、二人で会うときはトレーナーとも呼びたくないし、向井君ってくんづけもやめて欲しいな」
「でもね、向井君、私とあなたと20も離れてるんだから、カノジョだなんて呼ばれるトシじゃないわ」
「だから、向井君はやめてって言ってるでしょう。怒りますよ」
「彼女なんて言ってもらえて光栄だわ。でも、ファンが知ったらショックを受けるわよ」
拓馬のすねた言葉に由紀は思わず吹き出した
「素顔は子供みたいなのにね」
くすくす笑いながら子供を見るような由紀の表情に
拓馬は真顔で答えた
「俺は男ですよ」
拓馬はそう言うと、運転席に座る由紀の肩を抱き寄せ、狂おしいほどのキスの雨を降らせた