非恋愛体質
第8章 恋のライバル
そして会社に向かう電車の中。
アイロンかけたとは言えど、同じ服を着て出勤するなんて始めてで落ち着かない気分。
そして隣には片山君。
電車はカーブに差し掛かり、大きく揺れる。
ちょうどつり革が届かないところにいた私は、体のバランスを崩した。
「あっぶねー」
転びそうになった私の腕を片山君が掴んでくれた。
「春先輩さ、子供じゃないんだからしっかりしてもらえる?着くまでここ掴まってて。」
そう言って腕を差し出された。
「ごめん…ありがとう。」
弟のような後輩だと思っていたのに、昨日今日と男らしい姿をみて、ちょっとだけ異性として見ている自分がいた。
そして会社に着くと何事もなかったように業務が始まる。