非恋愛体質
第3章 いつもの一杯
そもそもこのお店に出会ったのは、就職が決まり会社の周りを下見しておこうと日中散歩しているときに、順也さんの奥さん(美奈子さん)に出会ったのがきっかけ。
そのとき美奈子さんは妊娠中で、気分が悪くなり路肩で疼くまっているところを見つけ声をかけたのだ。
大丈夫と言うものの心配で、近くの公園のベンチまで誘導し、飲み物を飲みながら気分が落ち着くまで一緒に過ごした。
その間、色々なことを話した。
大学生活のこと、仕事のこと、友達のこと、そして誰にも話していなかった昔のことまで。
なぜだか美奈子さんには話せたのだ。
他人だからか、年上で話しやすかったからか…たぶんそれだけではない。
美奈子さんは絶妙な間合いで相槌をうち、どんどん話をしたくなったのだ。
ずっと誰かに話したくて話せなかった過去を打ち明けることができ、私の目からは涙が溢れていた。
そんな私を見て、美奈子さんは
「よく話してくれたね。ありがとう。」
と笑顔で頭を撫でてくれたのだった。
そしてすぐ近くが家だと聞き、送っていくとそこがreafだった。