非恋愛体質
第3章 いつもの一杯
やばい…メガネ!髪!
私は慌てて俯いた。
「どこかでお会いしましたっけ?」
あれ?気付いてない?そうだよね、社内と全然違うし薄暗いもんね!
このまま逃げ切れそう!
「あっ、いや違うんです!読んでた本の主人公の名前が思い出せなくて…」
「そうだったんだ。1人?」
「あっ、はい、でももう帰るところで…」
と言ってみるものの、課長の目線は食べ始めたばかりのディナープレートに目がいっている。
「それ美味しそうだね!
順次さん、俺にもこの飯作ってよ!」
「りょーかい!春ちゃん帰るの?美味しくなかった?」
悲しそうな順次さんの顔…
「あっ、いえいえ食べ終わったらすぐ帰ろうかと思ってまして…」
ニコっとキラキラした順次さんの笑顔。
「よかったよかった。ゆっくり食べてってね!」
「はーい!」
あぁ…帰るタイミングを失った…