非恋愛体質
第3章 いつもの一杯
こうなったからにはバレる前にさっさと食べて帰ろう。
もっと味わいたかったけど…
「春ちゃんは仕事帰り?」
「えっ?あっ、はいそうです……なんで名前知ってるんですか?」
「さっき順次さんが呼んでたから。そうなんだ!俺も仕事帰りなんだよね。つい最近帰国したばっかでさ。ここよく来るの?」
そうか…バレたのかと思ったけど、課長が私の下の名前なんて知ってるわけないか。
「はい、まぁ…」
「じゃあまた会うかもね!順次さんと昔からの知り合いでさ。」
「そうなんですね。」
早く食べ終わりたいのに話しかけてくるからなかなか進まない…
ゴクッゴクッ…白桃サワーを一気に飲み干した。
「いい飲みっぷりだねー!順次さん、春ちゃんにおかわりあげてよ!俺払うからさ!」
「え、いや大丈夫ですよ!」
「そんな遠慮しないでよ!1人で飲んでもつまんないし、付き合って!」
いやいや、私は早く帰りたいんです。1人で飲むの大好きです!そしてお酒強くないですから!
と言いたいところだが、そんなこと言えるはずもなく、
「そしたらお言葉に甘えて…ありがとうございます。」
と運ばれてきたビールと白桃サワーで乾杯することになったのだった。