非恋愛体質
第6章 春の過去
そのときから目立たないメイク、地味な服を着るようになった。
大学に入っても友達を作ることはせず、当たり障りのない程度の会話しかしなかった。
いつものように授業を受けていると、隣の女の子に声をかけられた。
「ねぇねぇ、課題のプリント忘れちゃったんだけど見せてもらってもいい⁉︎」
「あっ、うん。どうぞ。」
プリントを真ん中に置く。
「わー。すごいキレイにまとめてあってわかりやすーい‼︎
私、木村 彩菜‼︎彩菜って呼んでね!名前何ていうの?」
「えっと…野原 春です。」
「春ちゃんね‼︎何で敬語?(笑)私地方から出てきたから全然友達いなくて…良かったら仲良くしてね。」
それが彩菜との出会いだった。
彩菜はこんな私にいつも明るく声をかけてくれた。
大学帰りに、雑誌で取り上げられているカフェを食べ歩きしたり、新しくできたショッピングモールにも遊びに行った。
彩菜が居たから、私は笑顔を取り戻せた気がする。
でも相変わらず男の人は苦手で、プライベートでは全く関わらないように過ごしていた。
そして今に至る。