
非恋愛体質
第7章 蓮の事情
栗色のショートカットで鼻筋の通った綺麗な顔だ。
デニムにTシャツ姿がシンプルだがとても似合っていた。
「なんかついてる?」
急に話しかけられビクっとする。
「もー‼︎いつも怒ってるわけじゃないんだから、そんなにビクビクしないでよ(笑)
はい、コーヒー。」
「いや、ボーッとしてただけで。ありがとうございます。頂きます。」
そうして口つけたコーヒーは美味くて身に沁みた。
女にキレられることはあったが、説教されたのは初めてだった。
小さい頃に病気で母を亡くしてから、父との2人暮らしだった。
仕事が忙しかった父との時間は少なく、不自由はなかったが、褒められたことも怒られたこともなかった。そんな俺は愛情に飢えていたのかもしれない。
